2018年に発売されたオープンワールドFPS『Far Cry 5』。

アメリカ・モンタナ州の架空の地域「ホープカウンティ」を舞台に、カルト教団「エデンズ・ゲート」とレジスタンスの戦いが描かれる作品だ。

発売から年月が経ったタイトルではあるものの、実際にプレイしてみると、自由度の高い戦闘や予想外の出来事が次々と発生するオープンワールドは現在でも十分に楽しめるものだった。

一方、ゲームを進めるほど目立ってくる反復的なミッション構成や、自由な探索を中断させる強制イベントなど、気になる部分もある。

本記事では、ストーリーの重大なネタバレを避けながら『Far Cry 5』の魅力と気になった点を紹介していく。

「カルト教団から地域を解放する」という分かりやすい目的

『Far Cry 5』の物語は、カルト教団「エデンズ・ゲート」の指導者ジョセフ・シードを逮捕するため、主人公たちが教団の本拠地へ向かうところから始まる。

しかし逮捕は失敗。

教団によって支配されたホープカウンティで、主人公は住民たちと協力してレジスタンスを形成し、地域を解放していくことになる。

ゲーム序盤から「教団に対抗する」という大きな目的が明確なため、広大なオープンワールドに放り出されても何をすればいいのか分からなくなりにくい。

ホープカウンティは大きく3つの地域に分かれており、それぞれをジョセフの“家族”が支配している。

どの地域から攻略するかはプレイヤー次第だ。

各地で人々を助け、教団施設を破壊し、拠点を解放することでレジスタンスの活動を拡大していく。

大きな目的はシンプルながら、その達成までの道筋をプレイヤーに任せる構造になっている。

最大の魅力は「思いついた攻略法を試せる」自由度

『Far Cry 5』で特に魅力的だったのが、戦闘における選択肢の多さだ。

敵の拠点ひとつを攻略する場合でも、正面から銃撃戦を挑む必要はない。

敵に見つからないよう侵入する、遠距離から狙撃する、仲間に攻撃を指示する、爆発物を仕掛ける、車両を利用するなど、さまざまな方法を選択できる。

場合によっては、車でそのまま敵へ突っ込んでもいい。

さらに航空機を利用できるようになると、戦い方は一段と豪快になる。

実際にプレイ中、航空支援が可能な仲間を2人編成し、自身もヘリコプターに搭乗。3機で敵拠点へ向かい、上空からロケットと機銃を浴びせて制圧するという強引な攻略も可能だった。

当然、同じ拠点をステルス中心で攻略することもできる。

「こうしたらどうなるだろう」と思いついた方法を実際に試せる。

この懐の広さこそ、『Far Cry 5』の戦闘を最後まで楽しめた最大の理由だった。

何気ない移動から“アクション映画”が始まる

自由度の高さは戦闘だけではない。

ホープカウンティを移動していると、敵の車両と遭遇したり、突然銃撃されたり、NPC同士が戦っていたりと、予定していなかった出来事が頻繁に発生する。

道路を普通に走っているだけでも敵と遭遇するため、危険を避けようと道路から外れて移動することもあった。

敵車両に発見されれば、そのままカーチェイスが始まることもある。

印象的だったのは、ヘリコプターからロケットを撃ち込んで教団施設を破壊した直後の出来事だ。

背後から攻撃を受けて機体が炎上し、墜落寸前のヘリからパラシュートで脱出することになった。

これは決められたイベントではない。

複数のシステムが偶然組み合わさった結果として発生したものだ。

こうした「予定していなかった展開」が自然に生まれるため、単なる移動や小さな戦闘までアクション映画のワンシーンのようになる。

ファストトラベルも用意されているが、車でラジオを流しながら仲間と移動する時間そのものにも楽しさがある。

効率だけを考えれば一瞬で移動できる。それでも、あえて車を走らせたくなるオープンワールドだった。

仲間との共闘は戦い方そのものを変えてくれる

ゲームを進めると、さまざまな能力を持った仲間を連れて行けるようになる。

単純に一緒に撃ってくれるだけではなく、プレイヤーが攻撃対象や移動先を指示することも可能だ。

ステルス時には、自分が隠れたまま仲間へ指示を出し、敵を静かに排除してもらうこともできる。

一方、航空支援が得意な仲間を編成すれば、上空から一気に攻撃する戦い方も可能になる。

仲間の組み合わせによって会話が発生するほか、特定の場所ではその人物に関係したセリフを聞けることもある。

こうした細かな作り込みは、仲間を単なる戦闘ユニットではなく「この土地で生活していた人物」と感じさせてくれる。

ただし、一度お気に入りの仲間が決まると、頻繁にメンバーを変更する必要性はそれほど感じなかった。

能力によって攻略方法を変えられる面白さはあるだけに、さまざまな仲間を積極的に試したくなる仕組みがもう少しあれば、より編成を楽しめたように思う。

中盤以降はオープンワールド特有の反復感も

序盤は、広大なホープカウンティを探索するだけでも新鮮だ。

しかしプレイ時間が長くなるにつれて景色にも慣れ、ミッションの構造にも似たものが増えてくる。

目的地へ向かい、敵を倒す。

施設を破壊する。

指定された物を探す。

もちろん細かなシチュエーションは異なるものの、ゲームを進めるにつれて「またこのタイプのミッションか」と感じる場面は増えていった。

特にメインストーリーの続きを見たい状態では、その間を埋める活動が“やらされている作業”に感じることもある。

それでも最後までプレイを続けられたのは、戦闘そのものが面白かったからだ。

同じような目的でも攻略方法を変えることができ、道中では予想外の出来事も発生する。

ミッション構造には反復感があっても、プレイヤーの行動まで毎回同じになるわけではない。

この自由度が単調さをかなり軽減している。

自由なゲームだからこそ気になった「強制イベント」

もうひとつ気になったのが、ストーリー進行に伴って発生する強制的なイベントだ。

各地域でレジスタンス活動を続けて一定段階まで進むと、主人公は教団側によって強制的にストーリーイベントへ巻き込まれる。

初めて発生したときは、何が起きたのか分からないほど突然だった。

演出としては緊張感があり、教団の不気味さを伝える役割も果たしている。

問題は、似た構造が繰り返されることだ。

最初は恐怖や緊張を感じていても、何度も経験すると「またこの展開か」という感覚が強くなる。

何より『Far Cry 5』は、自分の好きな場所へ行き、好きな方法で戦えることが大きな魅力のゲームだ。

だからこそ、自由に探索している最中に強制的に行動を中断される仕組みは、その魅力とやや噛み合っていないように感じた。

ストーリーをプレイヤーへ届けるための仕組みとして理解はできるものの、もう少し自然な形で物語へ誘導できていれば印象は違っただろう。

2018年作品でも色褪せない「自分で遊び方を作れるFPS」

『Far Cry 5』には、現在プレイすると粗さを感じる部分もある。

オープンワールドの活動は徐々に反復的になり、ストーリー進行による強制イベントも好みが分かれるだろう。

仲間のAIも完璧ではなく、車を運転させれば壁へ突っ込むような場面もあった。

しかし、それ以上に印象に残ったのは自由度の高さだった。

敵拠点へ静かに潜入してもいい。

仲間へ攻撃を任せてもいい。

車で敵へ突っ込んでもいい。

ヘリコプターで上空からロケットを撃ち込んでもいい。

そして、そうしたシステムが組み合わさることで、開発者があらかじめ用意したイベントではない「自分だけの出来事」が次々と生まれる。

『Far Cry 5』の面白さは、用意されたミッションを攻略することだけではない。

「この方法を試したらどうなる?」というプレイヤーの思いつきを、ゲーム側がかなりの範囲で受け止めてくれることにある。

発売から年月が経った現在でも、その自由度と予測不能なオープンワールドは十分に魅力的だ。

効率だけを求めず、時には車で寄り道をし、仲間を連れて思いついた作戦を試してみる。

そんな遊び方をしたとき、『Far Cry 5』はただのオープンワールドFPSではなく、自分自身が主演する一本のアクション映画のようなゲームになる。