『ホリダス!竜の廃坑』レビュー|壁を掘り、道を拓く。発掘が特徴の本格ローグライク
『ホリダス!竜の廃坑』は、mapleverageが手掛けるiOS向けのターン制ローグライクです。
自動生成されるダンジョンを探索し、武器や盾、指輪、草、巻物、杖などを現地で調達しながら最深部を目指します。
▲自動生成されるダンジョンを探索し、より深い階層を目指す本作の大きな特徴が、タイトルにもなっている「発掘」システムです。ツルハシで壁を掘って新たな通路を作れるほか、特定のフロアでは通常の探索だけでは見つけられない隠し要素に遭遇することもあります。
今回は通常ダンジョン30階をクリアし、クリア後に開放されるダンジョンも30階以上まで攻略。そのプレイ内容をもとに、本作の魅力と、遊び込む中で気になったポイントを紹介します。
※本記事は、開発者様よりレビュー用プロモコードをご提供いただき、実際にプレイしたうえで執筆しています。記事内容および評価はGAMECROSSの編集方針に基づくものです。
『ホリダス!竜の廃坑』の魅力
手持ちのアイテムから活路を見つけるターン制ローグライク
基本システムには、プレイヤーが1回行動すると敵も1回行動するターン制が採用されています。
ダンジョン内では武器や盾、指輪といった装備品に加え、草、巻物、杖、食料など多彩なアイテムが登場。敵との位置関係や手持ちのアイテムを確認しながら、一手ずつ行動を選択していきます。
▲敵との位置関係や手持ちのアイテムを確認しながら、一手ずつ行動を選択する敵にもそれぞれ特徴があり、食料や所持金を奪うもの、分裂するもの、毒や混乱といった状態異常を使用するものなどが登場します。
深層になるほど単純な攻撃だけでは突破しにくくなり、敵を眠らせる、位置を入れ替える、壁に通路を作るといった手段も重要になります。
強い装備を持っているだけでは切り抜けられない状況で、「この杖なら逃げられる」「ここに通路を作れば1対1に持ち込める」と手持ちのアイテムや地形から打開策を考え、それがうまく噛み合ったときの気持ちよさは、本作の大きな魅力です。
限られた所持枠がアイテム選びの悩ましさにつながる
持ち歩けるアイテム数には上限があり、入手したアイテムをすべて保持することはできません。
回復手段だけでなく、食料、毒や呪いへの対策、緊急時に使用する杖なども攻略が進むほど重要になります。
悩ましいのは、その場では不要に見えるアイテムが、数フロア先では命綱になることがある点です。
「この杖は残すべきか」「食料をもうひとつ持っておくべきか」「状態異常への対策を捨てても大丈夫か」。先の展開が分からない中で取捨選択を迫られるため、アイテムを拾った瞬間から新たな判断が生まれます。
何を拾うかだけでなく、何を捨てるかまで攻略になる。限られた所持枠だからこそ、アイテムひとつひとつの価値を考えながら進む面白さがあります。
壁を掘ることで地形そのものを攻略に利用できる
本作を特徴付けているのが、ツルハシなどを使用して壁を掘る「発掘」です。
通常は移動できない壁を掘削して新たな通路を作ることができ、探索のショートカットだけでなく、敵との位置関係を調整する手段としても利用できます。
敵に追い詰められたときに逃げ道を作ったり、通路を掘って複数の敵と同時に戦う状況を避けたりと、本来なら障害物である壁そのものを攻略手段に変えられるのが面白いところです。
さらに、一部のフロアでは壁の中に何かが存在することを示すメッセージが表示されます。
▲壁の中に何かが存在するフロアでは、探索中にヒントとなるメッセージが表示される壁を掘り進めるとメッセージにも変化が現れ、最終的には壁の中から隠し階段が出現します。
▲発掘を続けることで壁の中から隠し階段が出現隠し階段を下りた先には、複数の装備品やアイテムが配置された貯蔵庫が待っています。
▲隠し階段を下りた先にある貯蔵庫。多数のアイテムを入手できる普段は通路として利用するために掘っている壁が、こうしたフロアでは「何かが隠されている場所」へと変わります。掘り進めた先で隠し階段を発見し、貯蔵庫へたどり着いたときの発見感は、タイトルにもなっている「発掘」を実感できる場面です。
背景とBGMの変化が「ここまで潜った」という達成感につながる
通常ダンジョンでは、一定の階層まで進むことで背景やBGMが変化します。
特に26階以降はマグマが広がるエリアへと変化し、それまでとは大きく異なる雰囲気に。30階ではBGMも切り替わり、ボス「竜の残影」が登場します。
▲通常ダンジョン30階ではボス「竜の残影」が待ち受けるグラフィックやエフェクト自体は比較的シンプルですが、長くダンジョンを探索する中で景色や音楽が切り替わることで、「ここまで深く潜ってきた」という到達感が生まれます。
特に26階以降のマグマ地帯から30階のボス戦までの変化は、通常ダンジョン終盤らしい盛り上がりを感じられました。
クリア後はさらに長いダンジョンに挑戦
通常ダンジョン30階を突破すると、さらに長いクリア後ダンジョンが開放されます。
こちらではアイテム管理や状態異常への対策がより重要になり、通常ダンジョン以上に一つひとつの判断が生存に直結します。
▲クリア後には通常ダンジョンを上回る長丁場の探索が待っている先へ進むほど、食料や状態異常への備え、緊急時に使えるアイテムを残しておく重要性も増していきます。通常ダンジョンで覚えた知識を使いながら、より長い探索に挑む本格的なやり込み要素となっています。
なお、クリア後ダンジョンについては現在も引き続き攻略を進めています。
プレイして気になったポイント
ローグライクとしての基本部分を楽しめた一方、実際に深層まで攻略したからこそ「ここがもう一歩発展すれば、さらに面白くなりそう」と感じた部分もあります。
「発掘」はもっと本作の主役になれそう
特にそう感じたのが、本作最大の特徴でもある「発掘」です。
隠し階段の探索では、「壁の中に何かが眠っている」「空洞の音がする」といった段階的なメッセージが表示され、未知の場所を探している感覚を演出しています。
初めて遭遇したときは「壁のどこかに本当に何かが隠されているのでは」と考えながら掘ることができ、本作のテーマとも非常に相性の良い仕組みだと感じました。
ただし、複数回検証した範囲では、隠し階段はあらかじめ設定された特定の座標を探し当てるというより、一定回数掘ることで出現する仕組みとみられます。
そのため、ヒントを頼りに「隠された場所そのものを探し当てる」という遊びには、現状ではつながりにくくなっています。
例えばマップ生成時に隠し階段や埋蔵物の位置が設定され、近づくほど反応が強くなる仕組みであれば、「この辺りが怪しい」と推測しながら掘る楽しさが生まれます。
さらに発掘でしか手に入らない装備や宝、収集物などが加われば、壁を掘ること自体が新たな目的にもなります。
「発掘要素を備えたローグライク」から「発掘を核としたローグライク」へ。現在の仕組みが面白さにつながっているからこそ、さらに大きく発展してほしい要素です。
ステータスや判明したアイテムの情報を確認しにくい
本作には能力値を一覧できる一般的なステータス画面がなく、状態変化後の数値を確認しにくい場面があります。
例えば毒などによって能力値が変化した際、その場では変化を確認できても、後から現在の状態を把握しにくいのが気になりました。
武器や盾についても強化値は確認できますが、具体的な攻撃力・防御力を比較するための情報は限定的です。
また、効果が分からない草や巻物を実際に使用しながら正体を覚えていく仕組み自体は、ローグライクらしい楽しさがあります。
だからこそ、一度判明したアイテムの効果や現在の能力値を後から確認できれば、次に何を残し、何を使うかという判断もしやすくなります。アイテム管理が重要なゲームだけに、情報を確認する手段はもう少し充実してほしいところです。
アイテム使用時のエフェクトはもう少し欲しい
攻撃やアイテム使用時の演出は全体的に控えめです。
例えば敵へダメージを与える「ドラゴン草」も、炎などの目立ったエフェクトはありません。
本作では効果の分からないアイテムを実際に使うことで、その正体を知る場面があります。それだけに、初めて使ったアイテムから派手な効果が飛び出すような演出があれば、「これはこんなアイテムだったのか」という発見そのものを、もっと印象的にできそうです。
主人公や探索する目的がもう少し見えると冒険に入り込みやすい
ゲーム開始後は短時間でダンジョン探索へ移行するため、すぐにローグライク部分を楽しめるテンポの良さがあります。
その反面、主人公がどのような人物なのか、なぜこの廃坑へ潜るのかといった情報は、ゲーム中ではあまり語られません。
ストーリーを中心とした作品ではないため、大掛かりな物語が必要というわけではありません。ただ、主人公の簡単な背景や「なぜ最深部を目指すのか」が示されるだけでも、30階、さらにその先へ潜っていくことにゲームシステム以外の目的が生まれそうです。
クリア後の長丁場にはもう少し変化が欲しい
クリア後ダンジョンは通常ダンジョン以上の長丁場となりますが、今回攻略した範囲では、通常ダンジョンのような背景やBGMの大きな変化は確認できませんでした。
通常ダンジョンでは景色やBGMの変化が「ここまで潜った」という実感につながっていただけに、長く続くクリア後ダンジョンでも同様の変化が欲しくなります。
一定階層ごとの背景・BGMの変化や、中間目標となるイベントなどが加われば、長時間の攻略にも区切りが生まれ、「次はどんな場所が待っているのか」という気持ちで先を目指しやすくなるでしょう。
育てた装備を活用できる高難度コンテンツにも期待
通常ダンジョンでは、入手した武器や盾を強化し、無事に持ち帰ることも楽しみのひとつです。
使い続けた装備ほど失いたくなくなり、それを抱えたまま深層へ進むこと自体が緊張感にもつながっています。
一方、クリア後ダンジョンでは、その場で入手したアイテムを活用して進むローグライク本来のサバイバル要素が強くなります。
こちらはこちらで異なる面白さがありますが、通常ダンジョンで育てた装備を活用できる別の高難度コンテンツも用意されれば、装備を強化して持ち帰る楽しみに、より長期的な目標が生まれそうです。
総評|遊び込むほどローグライクとしての面白さが見えてくる
『ホリダス!竜の廃坑』は、見た目やシステムだけを見ると比較的シンプルなターン制ローグライクです。
しかし実際に深層まで進むと、食料や状態異常への備え、限られた所持枠でのアイテム選び、敵への対処、そして壁を掘って地形を変える発掘が少しずつ結びついていきます。
強い装備だけでは解決できない状況で、手持ちの杖や草、地形から打開策を見つける。今はいらないと思ったアイテムが後になって必要になる。そうした一手の判断やアイテムひとつの価値が生死につながる面白さは、しっかりと味わえました。
一方で、タイトルにもなっている「発掘」は、本作ならではの仕組みだからこそ、まだ伸ばせる余地を感じます。隠された場所を探し当てる探索や、発掘でしか得られないものなどが充実すれば、既存のターン制ローグライクとはさらに違った魅力を打ち出せそうです。
UIや演出、キャラクターの描写などにも改善を期待したい部分はありますが、繰り返しダンジョンへ挑戦し、その場にある手段で危機を切り抜けていくローグライクとしての面白さは十分に備えています。
第一印象はシンプル。それでも遊び込むほど、それぞれのシステムが攻略につながっていることが見えてくる作品でした。
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『ホリダス!竜の廃坑』は、iOS向けに配信されています。
